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石田倉庫のスロープ下に並ぶ赤い扉。そのうちの一つ、ドアの上にヨーロッパの街にあるような鉄製の看板が出ているのが、島内聡士さんのアトリエです。看板には、「heat trick — magical metal works」という文字があります。

「金属って、固くて扱いにくい素材でしょう。ぼくらは、そんな素材からなんでも作り、形にするんです。一枚の金属の板を叩いて形にする、やりにくさがあるからこその面白さと楽しさ。金属造形って、本当にtrick やmagicなんですよ。」

アトリエの中に入ると、作業に使う様々な道具が整理されて壁に並び、シルバージュエリーショップのような雰囲気。並んでいる道具も作品のように見えてきて、思わず見入ってしまいます。
「おしゃれなアトリエですね」と言うと、「道具そのものが形が面白くて格好がいいからですよ、きっと。これなんか、昔の鍛冶屋さんみたいな道具でしょう。金属に当てて叩いて成形する時に使う道具なんですが、ぼくたちは、こういう道具も自分で作るんですよ。」と教えてくださいました。

[左]アトリエのドアにある看板。これも島内さんの作品。
[右]アトリエの中、作業台のディスプレイも作品のようなしつらえ
大学在学中の2011年からアトリエ探しをし、大きな道具は設備が充実した学校でしか作れないからと、道具を作りながら卒業後の準備をしていたという島内さん。2012年から石田倉庫のアトリエに入居し、作家活動を行っています。
「生きているもので一番身近にあるものが人体。2009年、大学3年生の時には、自分の腕をモチーフにした作品を作りました。人体という金属からかけ離れたものをただの金属から作ってみたくて。まず親指から始めて、金属板を叩いて叩いてつなげていって、形にしていきました。」

「process」w500×h400×d150(2009)
粘土のようにつけたり、彫刻のように削って作るプロセスと違い、金属は全部つながっていないとならないので、どこをどうやってつなげよう、どこから始めようと考えながらデッサンやラフを描くそう。一枚の金属を熱し、たたき、伸ばしたり曲げたり、溶接したりしながら形にする作業は、出来上がった完成品を見れば見るほど、気が遠くなるような作業に思えてきます。

「vanishing point」w200×h300×d200(2013)
「せっかちだととても出来ない作業でしょうね。」と言うと、手のひらの上でコップを転がしながらこうおっしゃいました。「いえいえ、逆なんです。せっかちじゃないと鍛金は出来ません。いつまでも時間かけて叩いているだけでは形にならないでしょう?自分が形にしたいイメージを思い描いたら、どうしてもその形にしたいという強引さも必要なんです。今はこれくらいのコップは半日で作れますが、学生の頃は2週間もかかっていたんですよ。叩いて形にするにはどうやったらいいんだろう?なんの道具を使ったらいいんだろう?って考えて。教わったり、とにかくやってみたり。」

2014年のアトリエ展出店風景。
ジュエリーやランプ、帽子用のディスプレイなどを展示販売
ポートレートを撮らせて頂こうとしたら、真っ先に親指を立ててスマイル。誠実で丁寧な話しぶりの中にも、時折茶目っ気たっぷりの素顔がのぞきます。金属造形の道にすすむきっかけは、高校生の時にお母様にすすめられて通った「彫金教室」だったそう。2014年のアトリエ展も、鍛金による作品だけではなく、彫金による指輪も出品。たばこの煙をくゆらせるおじさんシリーズは、とってもユニーク。今年はどんな展示になるか、楽しみですね。
(文責:小林未央)
- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - - 






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「東京オリンピックの年には、すでにあった」とも、「昔、小麦粉倉庫だった」とも、人は言う。ここが、我らのアトリエ、石田倉庫だ。
 石田倉庫は、1本の樹みたいだ。ふさふさ茂る木の葉みたいに、いろんな能力に長けた人たちが、大勢、集まっている。

 ある日、木とり山上さんがひらめいた。アトリエ中を小鳥のように飛び回り、みんなに呼びかけた。
「アトリエ展をしよう」。
 こうして、「石田倉庫のアートな二日間」がはじまり、今年で10年を迎えた。

 アトリエ展には、大家さんである石田さん一家も参加して、大いに盛り上げてくださった。この4月に他界された石田隆一会長(石田倉庫をアトリエとして貸しはじめた人物。創始者)も、いつも楽しい手品を披露してくれた。種が丸見えの手品に、大人も子どもも、大喜びだった。
 石田会長は、母屋の外に並べたテーブルで、よく、手品の種を仕込んでいた。
「老人ホームのお年寄りたちに見せると、とても喜ぶ」
と、自身も充分老人なのに、ニコニコしながら準備していたのを思い出す。
 バス通りに面したマンションは、その昔、木造二階建ての洋館づくりのアパートだった。四畳半をたくさん寄せ集めたつくりで、西側部分は運送会社の事務所になっていた。入口には大きなスズカケノキ。その木の下に、アトリエ唯一の水汲み場があった。

 私は毎日そこで絵筆を洗いながら、会長さんが身寄りのないおばあさんを母屋の離れに住まわせたり、父親を亡くしひとりぼっちになってしまった居住者の、知的障がいを持つ娘さんのために、小さな家を建てて住まわせてあげたりする様子を垣間見て、
「なんてエライ人なんだろう」
と胸を熱くした。

 随分と家賃を滞納したアトリエ住人もいた。そんな時でも、
「毎月こつこつと返してくれているからね」
と笑いながら語っていた。

私が葉っぱを描いていると知ると、旅行で訪れた世界各国の葉っぱをお土産に持ってきてくれた。
 極めつけは、私のかなりアブノーマルな即興ダンスに感動し、「富士見町の文化祭で踊らないか」と声を掛けてきたこと。地元の人たちが大勢集まる会場で、思う存分のたうち回りながら踊ったら、とても嬉しそうだった。

 このように、訳の分からないものも受け入れる許容範囲の広い人だったからこそ、石田倉庫アトリエは誕生し、30年以上も在り続けているのかもしれない。

 そういえば、NHK総合テレビで石田倉庫アトリエから全国へ生放送をしたとき、
「なぜ、アトリエとして安く貸しているのか?」
との問いに、
「夢まで奪ったら、かわいそうだからね」
と石田会長は即答していた。

 石田倉庫アトリエで、私は身近な葉っぱの絵を描き続け、夢を叶えてきた。私にとって石田会長は葉っぱ同様身近な存在だった。
 だから、私の中にある石田会長の記憶を、葉っぱを描くように、ここに記すことにした。
 感謝を込めて……。

「手品をするおじいさん」とは、このように愛すべきおじいさんなのである。


(文責:群馬直美/2014年)

※2014年のアトリエ展の際、葉画家の群馬直美さんが限定200部で配布した冊子より


コンコンコン。アトリエの部屋をノックすると、「さあ、さあ。立ち話もなんですから。どうぞ、どうぞ。お入りください、コーヒーとお茶、どちらがいいですか?」と、とびっきり気さくに出迎えてくださった家具職人の山上一郎さん。「ぼくの作る空間にはデッドスペースって無いんですよ。」とおっしゃるとおり、アトリエというよりも、まるで雑誌の特集に出てくるような収納上手な書斎でした。

山上さんが石田倉庫にアトリエを構えたのは2000年の2月。前職はマスコミで、テレビ番組の制作をなさっていたサラリーマンだったそうです。「当時住んでいた家が狭くて、家に合う棚を作っていたら無性に面白くって夢中になって。夏休みに家具職人さんたちの話を聞きに行ったら、どの人も『家具職人は食えないからやめろ。』って言うんですよ。そして、最後に必ずみなさんこう言うんです。『でも、楽しい』って。そんなに楽しいって思える仕事、素敵じゃないですか。」そして、28歳で転職。職業訓練校や家具屋で修行を積み、「家具工房 木とり」を構えました。

No.5の2階が山上さんの事務所、1階が作業のできる工房になっています

「お客様とのやりとりは、なぞ解きみたいでね。この先5年、10年の人生の話とか。ほら、子どもが生まれて、育って、いつか独り立ちしたりすると、空間の使い方も変わって行くでしょう。だから、お客様の話を聞いて、聞いて。それから、たくさん話して、話して。断片情報を取り入れて、自分の中に入れてガラガラポン!って形にするんです。これが楽しくて。お客様に喜んで頂けて、自分も楽しいなんて、いい仕事をさせて頂いてるなって思います。」

横浜(上)と小金井(下)の中古住宅リノベーション例 (左:施工前 右:施工後)

さて、何を隠そう、この山上一郎さんこそアトリエ展の言い出しっぺです。
「家具が作りたくて石田倉庫に工房を構えたものの、すぐにたくさん仕事が入ってくるとは限りません。また、展覧会を開くと家具の在庫が溜まっていくので、在庫展を開きたいなあと思って。ちょうどアトリエの前に来る人来る人お茶にさそって話を聞いてみたら、入居者のみなさんが面白い人ばかりだったので、みなさんのアトリエを公開しつつ、在庫展を開いたら面白いんじゃないかと思い、持ちかけてみました。2005年のことでした。」入居者のみなさんも、これまではお互いに誰がどの部屋で何をしているのか全く知らず、このアトリエ展がきっかけで横のつながりもできたとか。

2011年のアトリエ展では、木とり、立川のオリオン書房、TACHIKAWA BARU とで
BOOKS&BAR「とんがり書房」をコラボレーション

「アトリエ展をやることで、自分たちも横のつながりができ、さらに、地域とのつながりもできていきました。2011年には、『こんな本屋さんがあったらいいなぁ』から始まって、地元のオリオン書房さんと、TACHIKAWA BARUさんと一緒に、1階の工房をBOOKS & BARにしました。オリオン書房さんはイベントのために、“とんがった”1,300冊の本を仕入れてくださいました。アトリエ展のコンセプト“落書き”に合わせて、本棚やブースの壁は黒板にして、チョークで落書きできるようにしたりして。これが大成功で、ルミネの30周年でも屋上庭園で開催したんですよ。」

本棚にはテレビマン時代にお世話になった島田紳助さんから頂いた色紙が。
「夢の最高の喜びは、結果ではなくプロセスです」

「ぼくの仕事は、高級な“オーダーメイド”と安価な“量産”の間にあるんですね。部屋をリノベーションしたくても誰に頼んだらいいか分からないでしょう。そんな人がぼくのところにいらっしゃるんです。お店を持っているわけではないので、これまで15年の家具をご覧になって、口コミで来てくださるという、いいお客様に恵まれているんだと思います。テーブルや椅子、ついたてから始まって、新築まで請け負うようになりました。もちろん、ぼくは建築士ではないので、いくつもパターンを作ってお客様とやりとりをし、設計は建築士さんに頼んでいるのですが、そういった信頼のおける設計士さんや職人さんとの関係もこの15年で培ってきました。新築まで来たので、いつか街を作りたいなと思っててね。これが今のぼくの夢というか、野望なんですよ」と、最後にそうおっしゃいました。

山上さんのガラガラポン!で出来る街。想像するだけでもワクワクしてきますね。
事例もたくさんの木とりのHPはこちら(http://www.kitori.jp
(文責:小林未央)

- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - -
チャイとホットワインのお店と、在庫展を開催。






茂井健司さんのアトリエの中にはぐるりと、大きなガラス、ベニヤ板、ダンボール、それから人形の段ボールが壁に立てかかっています。どんな作品を作っている方なのでしょうか。一番奥の隙間から顔を出しているのが、茂井さん。石田倉庫にアトリエを構えて26年の現代美術家です。

茂井さんは、ある「場所」とそこに立つ「人」との間、その間にある「つながり」や「コミュニケーション」をテーマに、ガラスや鏡など「写す」「映す」「移す」素材を用い、インスタレーションやワークショップなどを行っています。
「内側と外側、そして境界に興味があるんですよね。作品づくりは、その展覧会の行われる場所で行います。まずはじめに、作る場所を歩く。歩いているうちに、自分のやりたいことが見つかる。例えば水と縁のある場所なら水を使おう、廃材があるなら廃材を使おう、くぼんでいるならくぼみに穴をあけようという具合に。そこからイメージを固め、形にしていくんです。」

「透家」2013.9.20 at Gallery Nakamura
山梨県山梨市にあるギャラリーナカムラでは、「その水は果てまで流れ、わが体内にも流れる」をコンセプトに —写し、映し、移す— をテーマとしたガラスの家「透家」を制作しました。実はこのギャラリーの蔵の下には、水路が流れているとのことで、作品も床下に水がたゆたうガラスの家に。展覧会では、サク­ソフォーホン奏者、雨宮雄貴氏とのコラボレーションイベントもありました。サクスフォーンの音色と、演奏者の揺らぎに合わせて、蔵の壁や天井に水面がキラキラと映し出され、蔵の中にありながら、水を感じる展示となったそうです。(この様子はYouTubeでもご覧頂けます。https://www.youtube.com/watch?v=SAaprIB9VJA

「mine ― 高く・低く・遠くへ・近くへ ―」
フルマチ・アートスタジオ 2014.10.26-11.30
さらに、茂井さんの作品は、人と空間、空間と地域へとつながっていきます。
新潟市中央区にある空き店舗を活用したアート・コミュニティスペース「フルマチ・アートスタジオ」では、1ヶ月にわたる水と光を用いたガラスと鏡の構造体の公開制作と、「色あそび・色のひろがり・いろ色」をテーマにしたワークショップを展開しました。
ワークショップでは、子どもたちが実際に商店街のお店に行き、お店の色をイメージ、各店舗のロゴやマークを建物の形をしたオブジェに着色。最後に、公開制作制作したガラスと鏡の構造体の上に、そのオブジェを並べました。作品の上を歩いたり、下に入って見上げることのできる構造物。水との関わり、水への思いを馳せ、この場所にふさわしい表現を体感。まさに、地域と人と一体となって作り上げた作品となりました。

「森の人に大変身!」立川文化芸術のまちづくり協議会
ワークショップ×ワークショップ 
2014.08.05 at 立川市子ども未来センター
(写真:立川文化芸術のまちづくり協議会)
最近は、アトリエのある地元立川市でも、立川市子ども未来センターや昭和記念公園などで、親子向けのワークショップを行っている茂井さん。2014年開催の立川文化芸術のまちづくり協議会主催の「ワークショップ×ワークショップ」では、「森の人に大変身!」と題し、段ボールに君の型を抜き取って、色をつけて森の人に変身しよう!というワークショップを行いました。ちなみに、この「ワークショップ×ワークショップ」、今年は10月31日(土)開催(茂井さんは企画運営者として参加)、詳細はこちらをどうぞ。http://www.t-fes.com

2014年のアトリエ展出品作品

去年のアトリエ展では、茂井さんのアトリエには、鏡に無限の自分も映りつつ、鏡越しに相手が見え、映り込み混じり合う不思議な部屋が出現しました。
さて、今年は?とお聞きすると、「今年は部屋を真っ暗にして懐中電灯を持って入るような感じで…。自分自身も自分の創る作品に対して未知の状態なんですが…。そうですね、乞うご期待!って、書いてください(笑)」とのお返事が。百聞は一見にしかず。ぜひ、アトリエ展で体感しましょう!


(文責:小林未央)



- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - -
アトリエが鏡とガラスを使ったお化け屋敷になりました。










日曜日の朝11:00。赤ビル1階にあるpotters-studioにお邪魔すると、陶芸教室の生徒さんたちがアトリエ展出品に向けての作品づくりをなさっていました。淹れたてのコーヒーにおみやげのクッキーをほおばりつつ、手は休めずに時々おしゃべりしながら制作を楽しむ、穏やかな日曜日の午前のひととき。このアットホームな教室の中心にいらっしゃるのが、陶芸家の鈴木佳世さんです。

佳世さんは、石田倉庫にアトリエを構えてから13年。陶芸家になる前は、建築設計事務所でOLをなさっていたそうです。24歳でOLを辞め、自宅に窯まで構えて本格的に陶芸をなさっていたお父様の影響もあり、茨城県笠間焼きの村へ。窯元での修行を経て、2003年独立しました。

[左上]COYA(コヤ)シリーズ [右上]OKAYO(おかよさん)
[左下]animal(動物)シリーズ[右下]マグカップ

暮らしの中で寄り添うように佇む佳世さんの作品。見ているだけでホッと、心がまるくなります。
「その都度、形やテーマを変えて作っています。オブジェに家や教会が多いのは、建築事務所で働いていたこともあるのかな。でも、陶芸家としての活動の軸は、コーヒーカップやポットなど、毎日の暮らしの中で使うことのできる陶器です。制作して、販売して、みなさんの家の暮らしの中で使って頂きたいから。」


N夫妻の肖像 2015

「この作品は、樹木葬をしたご両親をいつもそばに感じていることのできる、心の拠り所を作って欲しいという、友人からの依頼で作ったものです。生前のご両親の人となりをお聞きし、結婚当初と晩年の写真をもとに、お二人が一番幸せだったときを想像して形にしました。椅子の中に分骨を納めるようになっています。とっても喜んで頂けて。わたしも作らせて頂けて本当に嬉しかったです。」

子ども陶芸てこねりのひとコマ。坂野ちえさんの手遊びから始まります

出張陶芸教室として、保育園や老人ホームへも行くという佳世さん。保育園での制作がきっかけで、アトリエでも子ども対象の「子ども陶芸てこねり」も始めました。始めるにあたってお声がけしたのが、わらべうたの坂野ちえさんとPate A Chouの藤田曜功さん。教室の窓口や作品の受け渡しなどはお店のノウハウを持つ曜功さんが。子どもたちの緊張をほぐし、リラックスさせるのがちえさんの担当です。わらべうたや手遊びから始まり、仲良く打ち解けたところで、制作へ。制作に疲れたら、いつでもちえさんと遊んで気分転換できるようにと、飽きっぽいこどもたちへの配慮もあります。「時間内に決められた課題をやるのではなく、もっと自由に陶芸を楽しんで欲しいと思って。でも、子どもたちとの時間は、わたしたち大人のほうがいつも楽しませてもらっているんですよ。」

「大人向けの教室では、生徒さんが作りたい物を作れるように、それを作るにはこういう方法があるよ、というのをお伝えするようにしています。人に教えるという場を作ると、一度に色んなことができるんです。それぞれの“こんなものが作りたい”という要望に応えることで、私自身も一緒に色々なパターンを体験できる楽しさもあるんですよ。」



とにかく明るく朗らかな佳世さん。もっと作品をご覧になりたい方、陶芸教室にご興味のある方は、ぜひホームページをご覧ください。アトリエ展で並ぶ教室の生徒さんたちの作品も楽しみですね。

佳世さんのホームページはこちら(http://www.potters-studio.com)。



石田倉庫のアトリエ展には、第一回目から参加の宮坂省吾さん。美術短大の非常勤講師や、美術の教材制作の仕事をしながら、染色と木、樹脂、糸など様々な素材と組み合わせたミクストメディアによる作品づくりを行っています。

「3歳くらいのころから落書きをするのが好きで、裏が白い広告のチラシを集めて、こっそりたくさん落書きをしていました。人に見せるというよりも、好きなもの、欲しい物を描いて。ただ描いて形にするのが楽しかったんですね。ある時、その落書きをあるとき人に見せたら、アニメのキャラクターとかを描いて欲しいとリクエストをもらうようになって。描いて人に喜んでもらえるという体験が、いまの自分の原点なのかもしれません。」
「atmosphere 2014 - 001」(2014)400×800×35mm/布、染料、木、樹脂
[左]「空の断片 2011」布、染料、木、樹脂/1900×1600×35mm
[右]「空模様 002 "the look of the sky"」250×250×250mm
布、染料、木、樹脂、糸、(針金)

北海道出身の宮坂さん。作品を通して伝えたいものは「空気感のようなもの」なのだそう。「空は地球上どこでも1つですよね。北海道にいたころの空は、とても広かったのが、東京へ来て空が狭いことに気がつきました。でも、都会でも人の暮らしているスペースのふとしたところに、実はいつも自然はあるんですよね。」
作品づくりでは、まず全体のイメージを決めてから、イメージに合わせて布を染色。にじませたり、色を組み合わせたりして並べた布を、木の板に貼り、糸でつなぎ合わせて画面を構成し、ポリエステルやアクリルの樹脂を塗って完成させるそう。



「上の空」(部分)(2010)200×200×38mm
布、染料、木、樹脂

作品を間近で見ると、布の端のフリンジが樹脂の中で、たゆたうままの状態で固まっていたり、織りの違う布を浸透した樹脂が透明感を与えて、何とも言えない浮遊感やみずみずしさを感じます。

「作品は、国や場所は特定せず、見る人の経験や記憶、そのときの感情にゆだねています。たとえば、モチーフで使っている単なる幾何学の“円”も、それぞれ見る人の想像で、太陽や月、あるいは地球など、自然の象徴として感じていただけたら。」

2014.9.6〜10.19 CONTEMPORARY ART FROM JAPAN part II in SWEDEN
展示の様子

宮坂さんは作品づくりのほかに、日本とスカンジナビア周辺諸国のコンテンポラリーアートを軸にした芸術交流を行う「EAJAS(http://eajas.com/home.html)」や、垣根を越えた様々なジャンルの作家を迎えた展覧会を企画するグループ「SQUARE 染 textile(http://textile-sq.com)」にも参加。
これらの活動は、「異なった素材が融合したときに醸し出す表情」や「新たな素材やメディア」も同時に模索しているという宮坂さん自身の制作ともクロスしています。

2013年のオープンアトリエでは、
金工作家の高井吉一さんとのコラボレーション作品を展示

宮坂さんの作品から見えるあなたの「空」は、どんな空でしょうか。宮坂さんのアトリエは駐車場の前、No.5の2階です。今年はどんなオープンアトリエになるか、どうぞお楽しみに!


宮坂さんのHP
http://www.miyasaka-shogo.com/index.html


(文責:小林未央)



- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - - 








赤いドアが並ぶ通称「スロープ下」の手前から2番、S-2がtonoharunaさんのアトリエ。部屋の中から聞こえる音楽に耳を傾けながらドアを開けると、印象派の色使いを彷彿とさせる抽象画、彼女のお気に入りのモノたちが並ぶディスプレイ、そしてご本人含めて、まるで1つの作品のような空気感が漂っていました。



黒板に描かれたメニューボードを見ながら「何か飲みませんか?」とすすめてくださったtonoharunaさん。この飾り棚は、自分で作ったのだそうです。まるで小さなカフェのようなかわいいディスプレイも素敵です。
tonoharunaさんがこのアトリエに入居したのは2015年の春。子どもの頃から絵が好きで、少女漫画のような女の子ばかりを描いていたそう。風景画と出逢ったのは高校の頃。写生をして、物をじっくり見るという習慣が身に付くようになり、山、野原、花、庭、自然の持つ線や、空間の美しさに気がついたのだとか。抽象画を始めたのは20代になってから。

「無題」F100号/キャンバスに油彩
絵を描くときは、「自然や日常にあふれるものから色彩や色の組合せで印象に残ったものを、日々自分の中にインプットしていって。それらをキャンバスを前にふんわりイメージして、整理しながらぼんやりと形にして。そして、色を置きながら、画面と相談して作品を作り上げていく感じ。」なのだそう。
彼女の作品の華やかでありながら不思議と心が落ち着く色使いには、テキスタイルとして身に纏ってみたくなるような、居心地の良さもあります。



そして、今年の「石田倉庫のアートな二日間」のパンフレットのデザインもtonoharunaさんによるもの。とにかく「物を作ることが好き」という彼女は、抽象画を制作の柱としながら、雑貨、アクセサリー、ペーパーアイテム、zine(雑誌)、そして漫画制作なども手がけています。

「そうそう。今、かかっている音楽の『雨のパレード』(http://amenoparade.com
というアートロックバンドにもペインターとして参加しているんですよ。」と、CDアルバムも見せてくださいました。アルバムのコンセプトやテーマ、音楽のイメージに合わせて、イラストを描いているとのこと。

tonoharunaさんがイラストを担当した「雨のパレード」のアルバムジャケット

「今後は屏風やふすま絵など「和」との融合にも挑戦したいんです。」と楽しそうに話すtonoharunaさん。容姿、作品の雰囲気から、思わず「tono(殿)というより、hime(姫)みたいなかたですね」と言うと、「そう言って最初はhimeって呼んでた人も、付き合いが長くなると、tonoに戻っちゃうんです。」といたずらっぽく笑った顔が印象的でした。

今後の活動も気になるtonoharuna world、ぜひアトリエ展でご堪能くださいね。

tonoharuna HP
http://tonoharuna.web.fc2.com/index.html/


(文責:小林未央)



- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - - 










1995年。現代美術家として作品を発表していた高井吉一さんは、展示後の作品置き場兼作業場として、この石田倉庫NO.3の1階を借りました。その当時作っていたのは、多摩川で拾った3,000本もの流木を床に並べていろいろな角度で見渡せるようにするという、とても大掛かりなインスタレーションで作品でした。

[左]「水中の森」(1994)Gallary Nikkoにて展示
[右]「記憶の森・記号の城 ―スウィート・ホーム」東京野外現代彫刻展出品

そして2015年。高井さんは同じアトリエで、オーダーメイドの鉄を中心とした金工造形の他、古美色と言われる伝統工芸の技法を施した金属製の鉛筆型ボールペン「TETZBO」シリーズの製作を行っています。大きなインスタレーション作品を作っていた作家さんがなぜ、今、小さなボールペンを作っているのか。気になりますよね。
[左]『チビエン』 [右]キャップ付き鉛筆型ボールペン『アルティメット』

「このTETZBOシリーズを作るようになったのは、ここ3年くらいかな。これから先、体力的にも大きいものを造ることが難しくなるだろうって思ってね。ちゃんと自分に向き合えて、人と思いを共有出来るようなもの、自分にしかできないこと…って何だろうって思って。」機能だけじゃなくて、きちんと心に残るもの。
「ちびた鉛筆って、何故か捨てられないんですよ。もしかしたら、『チビエン』は記憶や思いの扉を開ける鍵のようなものかもしれない…と思ったんです。しかも、万人に共通のmaster key…」

そして、蔵前の文具店「カキモリ」の店主広瀬さんとの出会いもあり、改良を重ね、小さくても手に馴染んでなめらかな書き味のボールペンが誕生しました。

「僕は文房具のマニアでもないし、まして専門家ではないから、形は出来ても製品として成立するための基本的な知識がなくて…。そこで、広瀬さんに専門家としてのアドバイスを戴き、なんとか製品として形になりました。」


[上]立川 富士見保育園 スライド式門扉全景
[左下]ステンレスを叩いて作った留め金にもTETZBOの刻印。
[右下]手描きでおこしたイメージ画
オーダーメイドの作品として、最近納品したのが、この富士見台保育園の門扉です。園長先生からのオーダーは、「高井さんの好きにやってください」というもの。高井さんは、「この保育園で育ったことが誇りになるようなものにしたい」と、手で一からイメージ画を描きおこしたそう。色とりどりのかわいいガラスがはめこんである夢がいっぱいの町並みは、子どもたちの毎日の登園を楽しく演出してくれそうです。



最後に、ポートレートを撮らせて頂こうとしたら、ちょっと照れくさそうにポーズを取ってくださった高井さん。「僕ね。器用なんですよ。悪い意味で…。これしか出来ないというものはなくて、不幸なことにこれまで、大概のことはあまり苦労せずに無難にこなして来た…だから何も出来ていない。それで60歳越えてから、もう少し自分にちゃんと向き合ってやらなくちゃいけないのかなって思って。ほんの少し真面目に生きて行こうと思ってね。今まではそのことが出来ていなかった。自分にとっての正義って何だろう。いい年してこんなこと言うのも何だけど、近頃はそう思う。」

高井さんの遊び心と職人としての粋な技が詰まったTETZBOシリーズは、アトリエ展でも展示販売予定です。

高井さんのHP(http://tetzbo.zero-yen.com
TETZBOの取扱店「カキモリ」のHP(http://www.kakimori.com
(文責:小林未央)
- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - - 
一ご自身の作品展示と併せて、奥様のジュエリーの展示もありました
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「赤ビル」とよばれる建物の2階。竹下千鶴さんは、1つの部屋を4人でシェアして机を置き、絵画教室での仕事の合間に、ここで作品づくりを行っています。絵画教室では、幼児から小学生を中心に、絵画から工作まで幅広い造形や制作を教えているそうで、ちょうど、机の前の壁には、これから子どもたちに教えるという教材の試作品も飾られていました。


[左]「羊のケイト」F4号(333×242)パネルに紙、アクリル絵具
[右]「ドローイング(ケイトのイメージ)」F0号(180×140)パネルに紙、水彩、色鉛筆


「これまでは自宅で制作していたのですが、働きながら絵を描くという環境を、とにかく変えたかったんです」と、3.11のあと石田倉庫に入居した竹下さん。「教えるだけではなくて、自分もきちんと制作している場所を持っていることが大事なのでは」と、アトリエを探していた時、ちょうどこの部屋のシェアの話があったのだそうです。

大学では油絵を専攻。現職の前に1年間、小学校の補助教諭をしていたことも。補助教諭のお仕事では、教科に関係なく子どもたちに、算数や体育など、どちらかと言うと苦手な子が顕著で、子どもたちへの手が多く必要な教科の補助にあたっていたそうです。
この経験のおかげで、はじめは「子どもが苦手」だと思っていたのが、子どもたちと接する時間が増えるにつれ、子どもに造形を教えるという仕事が「自分に合っているかも」と思うように。
「小学校で美術を教えることに目覚めたというか、子どもに接することに目覚めた感じ。お。私、意外と子どもいけるな。絵画教室の先生になってみようかしら」と。
こうして、竹下さんは「作家」として制作中心の仕事ではなく、子どもたちに「教える」という形で美術に携わる、今の仕事を選んだのだそうです。



「これ、紙粘土にはじめに絵の具を混ぜて色の粘土を作ってから、成形しているんですよ。この手法、実は絵画教室で知った方法なんです。」と、今年のアトリエ展の展示作品の一部を見せて頂きました。まるでマジパンのかわいいお菓子みたいに並ぶクマさんたち。
「わたし、動物が好きで。最近は、よくクマを描くんです。自分に似てるのかな。教室の子どもたちにもよく言われるんですよ。」ゆっくりとおだやかにお話してくださる竹下さんが、額の中からこちらを見ているクマさんに重なります。


[左]「くつした」(2011年のアトリエ展出品作品)
[右]「鳥」(2014年のアトリエ展出品作品)

ちなみに、2011年はステレンボードにアクリル絵の具で作った「くつした」、2014年は「鳥」をテーマに水彩画と紙粘土で作ったマグネットを展示販売。その年ごとにテーマを決めて制作なさるそう。制作物も、身近な素材を使った親しみやすいものを使っているのは、子どもたちに造形を教える竹下さんならではのもの。今年も「普段のアトリエ」に近い形で、クマさんシリーズの作品の展示販売を行うそうです。
残念ながら竹下さんのホームページはありませんが、講師をなさっている「子ども美術教室がじゅく」のホームページに、竹下さんから子どもたちへのメッセージがあります。子どもだけではなく大人の心にも届く文章です。下記に一節を抜粋します。


自分の好きなもの(事)をひとつでもいいからもってほしい。
絵の先生のくせにこう言ったら怒られちゃうかもしれないけど、絵を描くことじゃなくてもいい。サッカーでも野球でもいい。歌でもダンスでも虫を憶えることでも、動物を世話することでもなんでもいい。
おそらくそれが自分の中で(自分の生きていく中で)支えになるから。
私がそうだったから。今でもそうだから。



全部読みたい方はこちらをどうぞ。(外部リンク:「子ども美術教室がじゅく/講師紹介ページ」http://www.gajyuku.com/staff/chihiro/chihiro_takeshita.html

アトリエ展では、クマさんと竹下さんが、みなさんをお待ちしています。


(文責:小林未央)




- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - - 





「AR,TEE'S(アーティーズ)って、アトリエ見ただけだと何をしてる人たちなのか分かんないでしょ?」と代表の伊藤卓義さん。この日のアトリエは、アートワーク制作中のコーヒーショップの店内装飾用資材が入った段ボールの山でいっぱい。伊藤さんとスタッフの福本壱美さんは、テキパキと資材の仕分け作業なさっていました。

「でね、こんな感じのことをやっててね..」と、見せて頂いたのが、ショップや飲食店の空間や壁画、什器などの写真でした。写っていたのは、日本だけではなく、フランス、イタリア、アメリカ、レトロやモダン、はたまた近未来といったイメージの、実に多国籍で多種多様の世界。下の写真はその中の1つで、イタリアンのレストランを、ポルトガルのレストランに改築するという案件のもの。同じ空間が、色使い、装飾、照明、壁画などのあしらいの違いで、こんなに変わるんですね。

[左]施工前のイタリアンレストラン [中央] 伊藤さんのメモ。クライアントの要望をヒアリングしながら、イメージをスケッチにおこしていく。[右] ポルトガルレストラン『ヴィラモウラ』に生まれ変わった外観と店内


AR,TEE'Sとは、Artfact(文化的価値のあるもの)を Artistic(優れた技)で Expression(表現する)の造語だそう。「僕たちの仕事は、コンセプトや世界観を持っているクライアントの希望イメージを汲み取り、それぞれのオーダーに一番ふさわしい表現を考え、提案し、形にすることかな」。と、伊藤さんはさらりと言葉になさいましたが、実際には、センスや知識だけではなく、ありとあらゆる世界観を具現化するための経験と技術、そしてそれぞれの分野に長けた人脈がないと出来ないお仕事のはず。


気仙沼、千葉喜商店のみなさんと (撮影:山上一郎/木とり) 

「石田倉庫には様々な分野の専門家がいるからね。仕事はもちろん、こんなことも一緒にできました。」と伊藤さんが見せてくださったのがこの写真で、3.11の震災後、気仙沼で被災した商店へ看板を寄贈した時のものです。被災地に何か出来ないかと思っていたとき、アトリエ内の山上一郎(木とり)さんの紹介で出逢ったというこちらの商店は、建物も崩壊、従業員の方を亡くされるという辛い状況の中、復興に向けて取り組んでいたそう。伊藤さんは「自分たちに出来ること=何かを表現すること。気仙沼港=出航、門出=大漁旗」という発想から、復興祈願の大漁旗をモチーフに看板を造り、直接現地にお届けしたのだそうです。



アトリエ展では、毎年、国をテーマに(8年中国、9年モロッコ、10年スペインと)した屋台を制作。13年からは、アーティーズを前面に出すように。写真は2014年のもの。

さて、そんなAR,TEE'Sが、今年のアトリエ展で行うのは、ここ数年恒例の屋外での屋台出店と、版画や帽子の展示販売です。「アトリエ展はね、お客様にふるまいながら自分たちも楽しむもの。」と、伊藤さん。イベント屋台とはいえ、立派なショップブースなのはAR,TEE'Sならでは。さすがですね。

[左]「TATUWA」写真(キャンバスに印画紙圧着)、油性ニス、
水性塗料(H 2400 x W 1800 mm)/伊藤卓義
[右]「回遊-2(部分)」メゾチント/福本壱美

そして、アトリエ内では、仕事の合間にそれぞれが、個人的に描いた作品の展示も予定しています。福本さんは、銅版を直接刃物で削っていく作業が好きで、銅版でも特にメゾチント技法で作品づくりをしているとか。

AR,TEE'Sについてもっと知りたい方は、事例紹介の豊富なホームページ(http://www.artees.jp)をどうぞ。ちなみに、毎週月曜日の朝にアップされるブログの担当も福本さん。銅版画の作品とも違ったテイストのイラストは、毎回ほのぼのとたのしい逸品です。ぜひご覧くださいね。(文責:小林未央)

「TATUWA」写叔父さんの似顔絵/福本壱美

- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - - 







蔦の絡まるアトリエNo.3の2階、ガラス作家の寺西さんとシェアしているというアトリエの奥に、安東さんの作業机があります。机の上には、まだ加工されていない銅板、作業途中のキノコの部品、それからスケッチ画やペンチやピンセットなどの道具が並んでいました。ここが安東さんの作品が生まれる場所です。


「銅は、緑錆(りょくしょう)といって、表面の酸化によって色が変わるんですよ。」と安東さん。10円玉色の銅板を叩いて伸ばして、バーナーで熱しながら曲げて溶接して、形にしていきます。バーナーの炎の熱でみるみる色の変わる銅。さらに熱した銅を水につけるとジュッと音がして、色が赤褐色に変化しました。この色の出方は偶然のものなのだそうです。それもまた銅板造形の魅力のひとつなのだとか。バラバラだった部品が安東さんの手によって、あっという間にキノコの完成。まるで魔法のような作業です。

『ほしわたり』素材:銅・木パネル・アクリル/サイズ:650×800×60mm

大学に入るまでは、単純に絵を描くのが好きだった安東さんが、銅という素材とその表現の面白さに出会ったのは、大学に入ってからだそうで、今年の6月末には、最初に個展を開いてから10年の節目の個展「夏至」を開いたばかり。この個展では、自作フレームドラム奏者の久田祐三さんの楽器の一部を作るという実験的コラボレーション作品も展示したのだそうです。

[左]On my way home I remember only good days
[中央]みんないってしまう[右]Hello Hello 

安東さんの手仕事から生まれるのは、空間を装飾する大きなレリーフもあれば、絵本の世界からひょっこり飛び出してきたような、小さな不思議で可愛い動植物の小さな作品もあります。安東さんは、歌や詩、小さかった頃に読んでもらった絵本など、自分が出逢った好きな言葉を書き留めておいて、そこからイメージをふくらませて作品を作るのだそうです。
例えば、「On my way home I remember only good days」は、歌詞からイメージして生まれたもの。作品を見ているうちに、夕焼け空の下、ハナウタを歌いながら、自転車をこいでいる自分が見えてきます。そして、家への帰り道は、たしかに楽しかったことしか思い出さないなぁと、心の奥が懐かしいような、愛おしいような気持ちになります。
と、そんな感想を抱いた私に「作品と心が通じたのかもしれないですね」と、安東さん。「作品と心が通じる」っていう言葉も、なんだかとっても居心地よく心に響きました。

ワークショップで造形体験できるピンバッジ

安東さんはアトリエ展では、作品の展示と販売、ワークショップを予定しています。ワークショップでは、数種類の型のアルミのベースに、金槌で銅や真鍮のメッシュを叩いて模様を打ち付けて作るオリジナルのピンバッジを作るそうです。世界に一つの銅板の手づくりピンバッジ、素敵ですよね。

もっと作品を見たいというかたは、ホームページ(http://keiando.com/index.html)でもご覧になれます。そして、安東さんの銅板造形を体験してみたい人はぜひ、アトリエ展へ遊びにきてくださいね。
(文責:小林未央)



- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - -







「風が気持ちいいな、とか、木漏れ日がきれいだなとか、誰もが感じる共通の“何か大きな美しいもの”を形にしたくて。」と、静かにやさしくお話をしてくださる槇島さん。彼女の作品が並ぶアトリエに入ると、部屋の中にいるのに、キラキラとした気持ちのよい明るい光や、木々の緑や爽やかな風を感じます。


「風来」F120号・キャンバス、油彩 2012年制作

槇島さんの作品のモチーフは、太陽の光、植物、樹木、水面など自然のもの。「自然の中にある現象を、自分の記憶や内面や無意識下にある“イメージ”とを重なり合わせて描く」のだそう。彼女の作品の前に立った時に感じる感覚は、自分がいつの日かに出会った“何か大きな美しいもの”の記憶が呼び起こされたものなのかもしれません。


「ディスタンスについて」F20号・キャンバス 油彩
2011年制作 個人蔵
槇島さんは、2011年、東日本大震災の大きな揺れの中で「本格的に始めないと」と心を動かされ、石田倉庫のアトリエに入居を決めたのだそうです。「自分がピンチになるほど、自分のビジョンが見えて来るんですよね。地震があって、人間も自然ですし。日常と自然、自分に出来ることで、それらを良くして行こうと思って。」この作品は、アトリエに入って初めて手がけたもの。
2015.07.26-08.23 「森のみる夢」
インスタレーション作品 国営昭和記念公園花みどり文化センター
そして、上の写真は、今年の8月に昭和記念公園花みどり文化センターで開催された「森の見る夢」のインスタレーション作品。インスタレーションとは、空間を作品で構成し、作りながら変化させ完成させていく現代美術における表現手法の一つ。お絵描きワークショップでは、子どもたちも一緒に、森のみる夢を想像して描いた絵を象り、透明なプラバンに写し切り取って、真っ白なオーガンジーの布に貼付けて制作した大作です。




現代美術というと、一瞬ちょっと難しそうという先入観があるかもしれませんが、槇島さんの作品については、頭で考えなくても、心で感じることのできる“あたたかさ”があります。その作風から、友人知人から依頼を受け、新居や赤ちゃんのお誕生のお祝いの絵を描くこともあるそう。「新しく始まる記念日なので、私の絵から、明るさやあたたかさを感じて頂けたら…」
2014.12.06-07「お絵描きの森ワークショップ」
石田倉庫オープンアトリエ「てのしなしな」 /石田倉庫屋外会場
最近では「自分に出来ることを媒体に、大人も子どもも表現が楽しめる場づくり」を行いたいと、ワークショップや教室も、積極的に開いているのだとか。昨年のオープンアトリエでも、屋外にお絵描きの森を設置。大人も子供もみんなで絵を描いて、画用紙をちぎって貼りつけるなど「手」をつかって楽しむワークショップを行いました。


槇島さんのホームページ(http://aimakishima.web.fc2.com)でも作品をご覧頂けますが、ぜひ、アトリエ展で、実物の大きな作品の前で、色と光、そしてあたたかを感じてみてくださいね。
(文責:小林未央)

 
- - - - - - - - - - - - -<追記>2015年 アトリエ展の様子- - - - - - - - - - - - -









石田倉庫のアートな2日間、石田倉庫メンバーの企画する来場者参加のワークショップのご案内です。時間や人数をみまして、ご参加ください。


Luce macchia

「 雫ピアスのつくりかた」
日程:両日開催
場所:NO3-2F
申し込み:当日予約制
14:00から先着10名様 所要時間10〜15分ほど
参加費:1000円


安東 桂

「銅のキーホルダー作り」
慨要:小さい銅板を金づちでたたいて、熱して、折り曲げて自分だけの形のキーホルダーを作ろう。
日程:両日開催
場所:NO3-2F
申し込み:随時
1人20〜30分程度。一日限定10名。
参加費:1000円


槇島藍・竹下千尋

「お絵描きの森」
慨要:絵描きのマキシ、タケシが描いた森にみんなが描いた絵をコラージュして作るお絵描きワークショップ
日程:両日開催・雨天中止
場所:NO3の向かい側
申し込み:随時
10人程度交代で、1人10分前後
参加費:無料
石田倉庫のアートな2日間、今年も開催致します。
連日お問い合わせのお電話を頂いており、お知らせが遅れて、今年は無いのか?と思っている方も多いも模様。
いえいえ、時期をずらして今年は12月にやります。
冬仕様の石田倉庫も是非お楽しみ下さい!


石田倉庫のアートな2日間 2014
「てのしなしな」
会期 12月6日 (土)・7日(日)
10:00〜17:00


10月18(土)19(日)の2日間、立川市子ども未来センターでワークショップのフェスティバルを開催します!石田倉庫アトリエから、potters studio 鈴木佳代さん、KSP 安東桂さんはじめ、社会で活躍するアーティストや、立川屈指のクリエイティブ企業、美術大学、音楽大学など、20のワークショッップを用意してみなさまをお待ちしています。ぜ ひ遊びにきて下さい!

アトリエNo.5+として 山上一郎、茂井健司、塩川岳が運営に携わっています。
http://www.t-fes.com

■イベント概要
名称:立川文化芸術のまちづくり協議会ワークショップ×ワークショップ
日時:2014年10月18日(土) 12:00~17:00
          19日(日) 10:00~17:00
会場:立川市子ども未来センター 〒190-0022 東京都立川市錦町3-2-26
料金:入場無料 ※参加費は各プログラムによる
内容:短い時間で体験できるワークショップ/シンポジウム/交流会など

<参加団体>
開発好明/佐竹宏樹/谷山恭子/福永紙工株式会社/株式会社壽屋/武蔵野美術大学 地域デザインプロジェクト/chabo's drums school/東京TAMA音楽祭ダンスフェスティバル実行委員会/Potter's studio 鈴木佳世(石田倉庫アトリエ)/国立音楽大学(七夕座)/AGRI CRAFT/東京TAMA音楽祭ユースフェスティバル「華麗」/シアターカンパニーOrt-d.d(オルトディーディー)/sorahana/ネイルスクール ナナミルク&ヴィジョン/ファイバーワークス 石川優子・濱野さくら・宇津木哲子/KSP 安東桂・伊藤沙織/子どもの未来を考える会/立川ドラムサークル&ボディパーカッション・リズミーツ/生涯学習市民リーダーの会所属 田ヶ谷省三(通称:ガヤさん)

<イベント内容>
・開会イベント
オープニングファンファーレ(立川市立立川第四中学校吹奏楽部40名)
10月18日(土)12:00~
指揮 小池基文による、立川市立立川第四中学校吹奏楽部のオープニングファンファーレを立川市子ども未来センターテラスにて行います。また、ファンファーレに先立ち約20分の演奏を行います。

・シンポジウム
10月18日(土)18:00~
「芸術をもっと!まちづくり・教育に」
[イベント出演者(予定)]
今井良朗/武蔵野美術大学芸術文化学科教授
三澤一実/武蔵野美術大学教職課程教授
塩川岳/ワークショップ×ワークショップ実行委員会委員長 ほか

・交流会
10月18日(土)19:30~
W×W参加団体や、協議会をはじめ、美術・音楽・演劇・ダンス・食・大学・企業・行政など、相互の情報交換や交流の場を設けます。

  
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